畑地植生の特徴とその管理（4): 畑雑草の種類と生態

摘要

前々回、笠原（1971)の便図から、雑草と呼 ばれる植物のうち、作物と同所的に農耕地に生 育する種群を'耕地雑草'と紹介しました。こ の耕地雑草のうち、主に畑地や果樹園に生育す る雑草は畑雑草と呼ばれています。畑雑草には、 近年、各地の畑地で侵入'定着が報告される新 手の外来雑草も含めると、わが国にでは400-500種ほどの草種が畑雑草として扱うことがで きるかと思います。これらの畑雑草はもちろh 植物分類学上の系統で整理できますが、生態や 管理の観点から実用的な区分がなされていま す。例えば、除草剤による雑草防除上の区分では、除草剤に対する反応がイネ科植物とその他 の植物では大きく異なる場合が多いため、「ィ ネ科雑草」と、キク科ゃナデシコ科のように子 葉が2枚（双葉）となる"双子葉植物"に加え てツユクサのように広葉をもつ一部の"単子葉植物"（発芽して最初に出てくる子葉が1枚と なる）をまとめた「広葉雑草」とに分けていま す。今回は、除草剤利用も含めて、雑草植生の 管理を考えて行くうえで重要な雑草の生活様式 に着目して整理してみます。畑雑草には、種子 から発生し一年程度生育したのちに種子を生産 して枯れてしまう「一年生雑草」と、地上部が枯れても地下茎や塊根など植物体の一部が生残 し数年以上生存する「多年生雑草」があります。 また一年生雑草はさらに、主に春以降に凳生し て秋には枯死してしまう「夏型一年生」と越冬 して春から夏にかけて開花、結実して枯れてい く 「越年.冬型一年生」とに分けることができ ます。また、雑草の生育様式からは、ほふくし たりつるを伸ばさないで、直立したり叢生して 比較的狭い範囲に生育する「単立、叢生型」と、 地表や地中にほふく茎や地下茎を伸ばして、広 い範囲に生育することができる「横走.ほふく 型」に分けることができます。ほふく茎も伸ば すが直立したり叢生したりする草種も見られま す力5、広範囲に生育できる可能性を持つことか ら「横走、ほふく茎型」と言えるでしょう。主 要な畑雑草は上記の区分を用いると表1のよう に分類されます。