諌早湾干拓地における圃場乾燥工法としての全面反転耕起が土壌特性に与える影響

摘要

干拓地造成事業の初期段階では、効率的な圃場乾燥工法の採用が、全事業の工期および農地土壌の熟土化にも関わるため非常に重要である。 本報告では、八郎潟干拓および笠岡湾干拓で採用された圃場乾燥工法をレビューするとともに、諌早湾干拓地で採用された全面反転耕起が土層の発達に及ぼす効果を圃場における土壌調査を通じて検証した。 全面反転耕起は、作土層の乾燥と土壌構造の発達、除塩促進に著しい効果があることが明らかになった。加えて乾燥が土粒子表面の物理化学的特性に与える影響を評価したところ、土粒子の物理化学的特性そのものは乾燥によって変化しないものの、粒子の配列や土壌構造が乾燥によって変化し、コンシステンシーや保水特性の変化を生じるものと考えられた。