黄土高原から傾斜畑の保全を考える

摘要

本連載講座の締めく くりとして北海道の畑地 環境、とくに傾斜畑の機能保全と傾斜畑地帯の 景観を考えるため、海外でのフィールドワーク で得た知見を紹介することにする。唐突に海外 の事例を北海道の畑地環境に結びつけて考える のは、「牽強付会の感無きにしもあらず」では あるが、北海道の畑地農業が置かれた内国的-国際的生産環境、極端な気候変動に翻弄される生産現場、LISAやSDGsの理念を掲げるいっぽ うで大規模、単作、省力などによる北海道畑地 農業の効率化、合理化へ向かう情況などに一抹 の不安を感じるからである。現時点では、北海 道の畑地環境にとって「対岸の火事」ではある が、将来に備えて「対岸の情況」を知っておく ことは無駄ではなく、 「他山の石、以て玉を攻 くべし」と考える。