水と作物生産～果樹栽培を中心として～

摘要

作物にとって水は日射量や気温と並hで収量を決定する上で最も重要な気象環境要因のひとつである。 俗に「日照りに飢饉無し」とか「干天に不作無し」と言われるが、ここで干天とは、日射量は十分であるが、水が不足している年のことである。 このような場合はかhがいで対応でき、しかも、水が確保できた農地は日射量が多いために例年よりも多収であることさえ期待できる。したがって国全体で考えれば、飢饉になるほど危機的状態にはなりにくい。 またわが国の位置する北東アジアは世界的にみて、非常に降水量が多い地域なので、日照りの年でもある程度の水の確保が国際的にみれば比較的容易であるともいえる。 一方、これらの言葉は言外に「日の照らない年は飢饉に注意」、ということを指摘している。 日射不足は、人為的に対応することが困難であるため根本的な対策が少なく、国全体で凶作になりやすいといえる。