初のかh水新規プロが既存3社の寡占市場に挑戦

摘要

豊田通商は，オーストラリアの資源会社OrocobreとアルゼンチンOlaroz塩湖の炭酸リチウムプロジェクトを邁めてきたが，開発会社に25％出資し，2014年2月から年産17，500tで生産を始める。販売代理権は，豊田通商が100％取得する予定。電気自動車（EV）やプラグインハイブリッド車（PHV）が2010年代後半に普及すると，リチウムイオン電池（LIB）市場の急拡大が期待されている。一方で，炭酸リチウムの供給は主に4社で，このうち生産コストに優れた塩湖のかh水を原料とする生産者はSQMやRockwoodLithium，FMC Lithiumの3社に限られ，寡占市場にある。既存生産者が能力を増強するものの，将来的な安定供給に懸念の声もあり，かh水や鉱石原料の新規プロジェクトが相次いできた。かh水の新規プロジェクトでは，豊田通商とOrocobreが実証プラントを建設し需要家にサンプル出荷を行うなど，最も進hだ案件とされてきた。ただし，足元では，EVは航続距離や価格の問題から普及が進まず，車載用LIBの市場は限られている。能力増強を進めるかh水の既存3社と価格競争に陥る可能性もあり，生産コストがプロジェクトの成否を分けるとみられている。