塑性加工油の要求性能と選び方

摘要

一般的な潤滑油は主として流体潤滑膜を形成することによって機械設備の摩耗を防ぎその機能を維持しているのに対し、塑性加工油は流体潤滑に加えて金属同士が接触する混合·境界潤滑状態における摩擦の低減や焼付きなどを防ぐために用いられるものであり、その用途は大きく異なる。 近年、塑性加工技術の向上も図られてはいるものの、塑性加工油に期待される性能はまだまだ大きい。特に塩素系添加剤を配合する油剤では廃油の焼却処理時に有害なダイオキシンを発生する懸念があるなど、いくつかの課題が課せられているのが現状となる。 本報では、圧延を除く塑性加工方法の概要と、そこに用いられる組成加工油の要求性能および選び方について解説する。