ものづくりにおける技術の伝承と人材育成

摘要

2007年問題に限らず固有技術を保有した人材は確実に減少する。 業務が複雑化し，部門間達系がますます重要になっている状況では単一部門だけでの技術の伝承は困難となり，かつそのような技術では通用しなくなってきている。 アウトソーシングなどで安易に技術提供を行うと，企業にとってコアコンピタンスとなる重要技術の空洞化が起こる。 また，グローバル化に伴う海外生産拠点でのモノづくりにより，技術者·技能者の指導とレベルアップも急務であり，技術立国日本に相応しい「技術の伝承」の仕組み構築が望まれている。 しかし，伝承すべき技術が個人技術になってしまうのは避けるべきで,そのためにも技術の透明性が重要であり，その基本は標準化である。過去の成功事例や失敗事例がいつでも誰でも簡単に情報入手することができ，それを自分のスキルアップのために有効利用できるシステムや仕組みを構築することが大切である。 文字や言葉で表現することが難しいノウハウを伴う技術の伝承は,継承者自身が伝承の必要性に対する高い意識とその意識を高揚する企業風土の醸成が不可欠である。 同時に伝承者の教える能力を支援する教育プログラムの開発を経営方針として中·長期的に取り組むべき姿勢を経営トップ層に強く要望する。