ヨーロッパにおける水硬性石灰の建築材料としての利用状況と日本建築への適用

摘要

本稿ではヨーロッパにおける水硬性石灰の歴史と利用環境を中心に，日本における利用法を考察した。 水硬性石灰は紀元前400年頃から利用されている非常に古い材料である。 その中でも天然水硬性石灰は産業革命を背景にセメントの開発により利用が減少してきた。 現在，多様性を求める社会情勢，健康や環境に対する意識の高まりから水硬性石灰はヨーロッパにおいて見直される動きになってきている。今後日本においても，水硬性石灰の様々な性能が確認されることになると思われるが，この材料が齎すであろう美しく豊かな空間の創出にも期待を寄せたい。