廃電子基板の加圧酸浸出と浸出液からの金属回収

摘要

鉱物資源の大半を輸入に頼っている日本にとって，金属資源の安定確保は長年の課題である。特にレアメタルやレアアースに関しては，産出地域が偏在するなどの理由から様々な対策が検討·実施されている。例えば，パソコンやテレビ，携帯電話など電子機器の小型化および高性能化に伴い，レアメタルや貴金属など多くの有価金属が電子基板に使用されている。これら使用済み電子基板に含有されている金属の一部は，自然界に存在する鉱石品位より数十倍以上濃縮した状態にあり，重要なリサイクル原料として取り扱われてきた。現在，使用済み電子基板は主に非鉄製錬プロセスで受け入れられ，含有する有価金属のリサイクルが行われている。その方式は乾式製錬を主としたりすイクルであるが，電子基板内のレアメタルは，含有されている濃度が低いうえに酸化されやすくスラグに移行しやすい金属が複数存在するため，、十分にリサイクルされているとは言い難い。