幌延地域に分布する珪質岩を対象とした間隙弾性パラメータの取得と室内試験法の提案

摘要

Biot（1941）が提唱した間隙弾性論においては，岩石の応力ーひずみの関係式の誘導に際して，岩石を構成する基質部とともに間隙を満たす流体の変形も考慮されている。したがって，この理論を用いると，以下の研究事例が示すように，多孔質で基質部の剛性が大きくない軟岩の力学的な諸現象を解釈したり予測したりする上で有効である：地表面に設置された傾斜計の解釈，水圧破砕試験結果の解釈，揚水による間隙圧の変化などで起こる地表面の変形やそれに伴う地震発生の解釈，空洞周囲の応力評価，など。本報告は，北海道幌延地域に分布する新第三紀の珪質岩（以下，幌延珪質岩と記す）を供試岩石として三軸圧縮試験を行い間隙弾性パラメータの取得を試みたものである。