固形がhに伴うDICに対する緩和治療としてのrTMの新たな可能性

摘要

【緒言】遺伝子組換えヒト可溶型トロンボモジユリン製剤(rTM)の緩和治療への有効性が示唆された症例を 経験したので報告する.【症例】60歳代女性.上行結腸がhの診断で当科紹介.右卵巣転移'肝転移を認め， 化学療法を先行し，腹腔鏡下右側結腸切除術,右卵巣摘出術を行い，2力月後に腹腔鏡下肝部分切除術を施行 した.補助化学療法施行後，多発肝転移再発を認め，種々の化学療法治療を行った.胸腹水の出現，鼻出血 および口腔内出血を繰り返し，血小板異常減少を認めた.骨髄穿刺検査を行ったが播種性骨髄がh腫症は否 定され，固形がhに伴う播種性血管内凝固症候群(DIC)と診断した.rTM導入により，DICからの離脱に は至らなかったが，出血症状消失,安眠'食事摂取ならびに呼吸苦の改善を認めた.【結語】rTM投与は固形 がhに伴うDICに対する新しい治療法であるが，QOLを保つ緩和的治療にも有効である可能性がある.