カナマイシン発見60年記念特集を終えるに当たって

摘要

わが国の抗生物質の歴史は、第二次世界大戦中に組織されたペニシリン（碧素）委員会に端を 発し、戦後になってペニシリン、ストレプトマイシン(SM)、そして純国産のカナマイシン(KM)の 研究開発?産業化.臨床導入があたかも三段跳びのホップ?ステップ.ジャンプのように続いた。 この飛躍は梅澤濱夫先生の力リスマ的なリーダーシップによりもたらされたが、中でもKMが臨 床導入されるとSM耐性結核菌にも有効な広範囲抗生物質として数知れないほど多数の細菌感染 症患者の命を救い、国内外の臨床において高く評価された。戦後、日本国民の自信回復に貢献し たものとして湯川秀樹博士のノ一べル物理学賞受賞が筆頭に挙げられているが、抗生物質は20世 紀において国民を幸福にしたものの第一位にランクされており、中でもKMの発見をはじめとし て梅澤濱夫先生がもたらした恩恵は実に大きい