木村好宏の“耳寄りな話” Dr.フェルディナンド·ピエヒの思い出

摘要

Dr.ピエヒに最初に会ったのは確か1980年の初めだ。フォルクスワーゲンに深く関わっていた友人のロバート·ヤンソン氏の紹介でホテルオークラの一室で短いインタビューしたのである。その後、何度か新車発表会などで遭遇したが、最も長く個人的に会話したのはジュネーブのボーリバージュホテルだった。まだウルズラ夫人と結婚する前でひとりで朝食をとっていた氏に私は、大胆にも「ご一緒して良いですか？」と聞いて同席した。実は、この時、私はかなり舞い上がっていて、実際に何を話したか正確には覚えていないが、わずかな記憶ではなhと、燃料ポンプの代わりに風船をタンクに押し込hだというポルシェ時代のレーシングカー開発エピソードや、アウディの社員をどのように鼓舞したかなどを聞き、反対に彼からは日本のポルシェエンジニアリングオフィスについての質問を受けるなど、多岐にわたっていたと思う。