味覚障害

摘要

味覚障害の症状で，最も多いのが「味覚減退 (低下)」と「味覚消失」である.前者は何を食べ ても味が薄く感じる(味の感度が悪い)，後者は味 を感じないといった症状で，この2つで味覚障害 全体の8~9割を占める.五基本味(甘味，塩味， 酸味.苦味.旨味）のすべてを感じづらい，あるい は感じないといった状態である.そのほかにも，ロ 腔内に何もないのに苦味や塩味を感じる「自発性 異常味覚」（薬剤性味覚障害に多い症状)，甘味 のみ?塩味のみなど単独の基本味がわからなくなる 「乖離性味覚障害丄何を食べてもまずく感じる「悪 味症丄本来の味と違った味がする「異味症」な どがあり，これらを総称して味覚障害と呼ぶ.異味 症(異食症：pica)は，特に鉄欠乏性貧血に生じや すぐ土や鉄鍋をかじったり，氷を多量に摂取する といった異常な食行動を認めることがある.