利尿薬

摘要

現在の心不全患者における最大の問題点は再 入院率の高さであり，いったh心不全の増悪で入 院すると，全患者の約25%前後はその後1年以 内に心不全により再入院し，その10%程度は1年 以内に死亡する.再入院の大きな原因の1つは体 液貯留およびうつ血であることから，慢性心不全に おけるうつ血の治療は非常に大事なトピックではあ るものの，現在のところ，理想的なうつ血治療がど のようなものなのかに関しては未解明な部分が多い. 利尿薬は，体内の水分量をコントロールするため に使用され，心不全で過剰な水分を利尿薬で取り 除くことは，症状を取ることとして最も即効性があり，体液貯留がある患者に対しては最初に行う治療と いってよいだろう.一般的にはループ利尿薬〔フロ セミド（ラシックス⑧），トラセミド（ルプラック?)，ァゾセ ミド(ダイアート?)など〕が使われることが多いが，ほかにサイァザイド系利尿薬などが用いられること もある.現在の日本循環器学会/日本心不全学会の 『急性?慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂 版)』では，心不全治療としてのループ利尿薬は クラスI，ェビデンスレベルC，米国心臓病学会財団 (ACCF) /米国心臓協会(AHA)ガイドライン(2013 年）では，「心不全の診断で入院した患者で，明ら かな体液貯留の徴候がある患者に対する速やか なループ利尿薬」はクラスI，ェビデンスレベルB， ESCガイドライン(2016年)では，「症状を改善し，うつ 血を解除するためのループ利尿薬」はクラスI，ェ ビデンスレベルBで推奨されている.