ポリオウイルス感染と自然免疫

摘要

ポリオウイルスは急性灰白髄炎の原因ウイルスである。ウイルスは経口的に感染し，消化管で増殖した後ウイルス血症期をへて中枢神経に達する。神経細胞（特に運動神経細胞）で効率よく増殖し，これを破壊することにより弛緩性麻痔を引き起こすが，その他の臓器ではウイルスはあまり増殖することができず重篤な病理学的変化を引き起こさない。ウイルス増殖の組織特異性（ウイルスが増殖する組織を選り好みすること）は一般的によく知られていることであるが、その理由は不明であることが多い。最近の研究成果によって，ポリオウイルスの場合このような特徴的な病態はウイルスと宿主側の自然免疫系との攻防の結果もたらされることが明らかになってきた。本稿ではポリオウイルスの組織特異的な病原性へのインターフェロン応答の重要性を概説する。