中枢神経系疾患における神経新生とうつ病様症状: 細胞移植，電気刺激，リハビリテーションによる治療

摘要

成体となっても哺乳類の脳内では，神経新生が生 じている。様々な中枢神経系疾患におし、て神経新 生は影響を受けており，これをコントロールする ことは中枢神経系疾患の治療につながる可能性が ある。現在，神経新生を治療標的とした様々な基 礎研究が行われている。我々は，細胞移植，電気刺激，リハビリテーショ ンを用いて中枢神経系疾患の治療に関する研究を 行ってきた。脳梗塞やパーキンソン病，難治性う つ病といつた疾患モデル動物に対して，これらの 治療を行うことで，神経新生は促進され，行動学 的な改善も得られた。現在，我々は脳梗塞後のうつ病様症状への新たな 治療法開発に向け，ラットを用いた研究を行って いる。うつ病などの気分障害は神経新生と関連性 があるとされている。脳梗塞後のうつ病様症状に 対しても，神経新生が治療標的となる可能性があ り，我々がこれまで行ってきた治療法の有効性が 期待される。