上部消化管内視鏡検査におけるミダゾラ厶経口投与の有用性に関する検討

摘要

上部消化管内視鏡検査時の鎮静法としてミダゾラム経口投与を実施し，臨床的有用性を検討した.対象は無作為に分けたジァゼパムlOntg静注群43例とミダゾラムlOmg経口投与群43例とした.両群で重篤な合併症はみられなかった.血圧低下値はミダゾラム群で有意に大きいものの，投与後に90mmHg以下に低下した症例はジァゼバム群が多かった.検査中の嘔吐反射回数，患者の鎮静スコァゃ苦痛スコアに有意差はみられなかった力;'，検査に対する健忘効果はミダゾラム群が有意に高く ，同群の約8割が次回も経口投与による鎮静を希望，許容した.一方，ミダゾラム群は検査開始まで平均17分を要し，鎮静からの正常回復はジァゼバム群より長い時間を要した.ミダゾラム経口投与は簡便であることに加え，重篤な呼吸循環動態の変動はなく比較的安全に実施可能なこと，静注法と同等の鎮静効果が得られること，健忘効果が強く患者満足度も高いことなどから臨床的に有用な鎮静法と思われた.