慢性耳鳴症例におけるァレキシサイミァ度とTRTの効果についての検討

摘要

ァレキシサイミアとは、「感情の言語化障害」という意味の人格特性である。自己の感情 を言葉で表現することが難しく、身体的な症状で訴えるのが特徴とされている。以前我々は、慢性耳鳴症例におけるァレキシサイミア傾向について検討し、1) 慢性耳鳴症例におけるァレキシサイミア度は、コントロール群（中耳、内耳疾患のない 非耳鳴群）より高値である。2) THI、 SDSおよびSTAIスコアはァレキシサイミア度の多くのスコアと正の相関を示す。3) EQSスコア（情動知能指数）のうち、3犬況対応スコアはァレキシサイミア度のすべての スコアと負の相関を示す、等について報告した。また、TRTの効果に影響を及ぼす因子についても検討し、治療効果はTHIやVAS、 SDS やSTAIよりもむしろEQSの中の状況対応スコアや病悩期間という因子と関係することも 報告した。すなわち、自己のおかれた状況にどう感情をコントロールして対応するかという 能力が、耳鳴への順応に重要と思われる。では、感情の認識や表現に対する障害を有する症 例において、TKTの効果はどのように影響を受けるのだろうか？今回我々は、この点について検討した。