思い出す遠藤萬里先生

摘要

遠藤先生を倨、び思い起こすのは，まず東京大学西アジ ア洪積世人類遺跡調査団の団員としてご一緒し，イスラ エル?レバノン?シリアの地で半年以上の期間を二度に わたって同じ釜の飯を食い炎天下に共に汗を流して，先 史遺跡探しや発掘をしたことである。遠藤さhは先生と 呼ばれるのはお好きでなかったので，ここからは遠藤さ hと呼ばせてもらう。遠藤さhは鈴木尚先生が組織され たこの西アジア調査団の実質的事務局長として1961年 の第一次から第五次まで14年におよぶ野外調査を支え られた。ネアンデルタール人の発掘されたアムッド洞窟に遠藤さhが設置された鉄製三次元グリッド基準は非常 に頑健で風雨に耐え，30年後にこの洞窟の再発掘を行っ たイスラエルの研究者たちもそのまま踏襲して用いるこ とができた。発掘主任渡辺仁先生の指示による発掘を， 毎日の発掘図と誌として記録を共有する方式を遠藤さ hが作られたことで，現在でも発掘情報を再現できる。 まだ海外出闽が珍しかった時代に初めての外国調查へ出 た我々若い者を，生活面にまでおよhで指導してくだ さった。乾燥卨温外地での健康な過ごし方，盗難予防の 注意，外国役人との交渉術，調査初期は自分たちで行っ