流動性と弾性を両立する化粧品原料,処方設計～油性ゲル化剤の活用～

摘要

粘弾性体である化粧品の物性を好ましいものへと制御 することは，化粧品使用性能，使用感触そして製品安定 性を向上させる上で重要である。化粧品には，乳液，ジェ ル，スティックなどの製剤の状態と，それを崩して肌に 塗布した化粧膜の状態のそれぞれに対して好ましい物性 がある。例えば店頭に並hでいる製品状態（製剤）では， 重力や衝撃などの力に対して非回復変形を起こしにくい 弾性体のような性質が好ましい場合が多く，一方，製剤 を肌へと塗布する段階では，適度な力によって容易に均 一な膜状になる粘性体としての性質が好ましい。さらに， 肌上で塗膜になった状態では，広がったり，垂れたりす ることなく塗布直後の状態を維持できる弾性体の性質が 好ましいといえる。このように，製剤状態と塗膜になっ た状態で好ましい物性が相反することも多く，バランス をとるような処方設計技術が必要になる。