進行食道癌に対する化学放射線療法の早期効果予測における血中CRPの有用性

摘要

当科で施行したcT3／T4食道癌に対する術前化学放射線療法（CRT）症例を対象として，摘出標本の組織学的効果と術前の血中CRP値を含めた臨床諸因子との関連を検討した。 その結果，治療前に高値を示した血中CRPがCRT進行に伴い，非奏効群と比べ奏効群で早期かつ有意な低下を認めた。 CRT開始後2週終了時点のCRP＜0.4mg／dL（CRT2W）により，高い精度（感度83．3％，特異度75％，正診率79．4％）で奏効群を予測可能であった。 さらに，治療前CRP》=0.4を示す症例（対象症例の2／3）に限れば，CRP＜0．4（CRT2W）によりさらに高い精度で奏効群を予測可能であった。 血中CRPは，CRTの早期効果予測に有用なバイオマーカーとなることを明らかにした。