( S144) アルミニウムと鋼材·チタン材の高速回転圧迫による非平衡相生成

摘要

摩擦攪拌接合はアルミニウム合金に対して用いられる固相接合法で塑性流動を利用している．近年，その摩擦攪拌接合を異種金属接合に適用する試みが行われている．従来のアーク溶接や抵抗溶接などの溶融溶接では接合部に巨大で高温の溶解領域が生じるため，脆い金属間化合物相が生じて接合強度低下の原因となるのに対し，摩擦攪拌接合を利用すればそのような金属間化合物相の生成を抑制できると考えられる．一方，我々はアルミニウム中にTiNi 粉末を分散させたインゴットを冷間鍛造あるいは圧延するだけで，アルミニウム母材とTiNi 粉末が反応し，局所溶解·急冷が生じることを報告した1)．その実験結果は，密着させた異種金属に対し塑性加工を行うと，見かけ上溶解していなくても，元素の組み合わせ次第では界面で局所溶解と急冷を生じ得ることを示している．本研究では，異種金属を摩擦させたときに界面で生じる組織変化を観察し，摩擦によって局所溶解·急冷が生じるかを検討した．