(S048_2)硫酸セリウム(IV)四アンモニウム滴定法による高クロム鋼中クロムの定量

摘要

鉄鋼材料含有元素の定量分析は材料の品質管理や特性研究を進める上で必要不可欠である。その分析法と して吸光光度法、原子吸光法(AAS)、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-OES)、誘導結合プラズマ質量分析法 (ICP-MS)等が用いられているが、これらの方法では分析装置のシグナル強度と分析元素量との間に相関が成 立する条件下で定量分析が可能となる。一方重量法や容量法のように化学反応における化学量論的計算によ り分析元素量を測定する分析法も用いられている。例えばステンレス鋼、耐熱鋼並びに工具鋼等に含有する 高濃度のクロムを定量する方法として、酸化還元滴定法が用いられている。この方法は含有クロム全量を一 旦Cr(VI)に酸化し、次に硫酸アンモニウム鉄(II)(Fe(NH4)2(SO4)2)溶液でCr(III)に還元する。その後未反応の Fe(II)を酸化剤で滴定する。酸化剤として過マンガン酸カリウム(KMnO4) 1) や重クロム酸カリウム(K2Cr2O7) 2) が用いられているが、前者は滴定終点の判別が難しく、一方後者は指示薬を用いるため終点の判別は容易で あるがバナジウム含有試料には適用不可である。