析出強化型15Cr鋼の衝撃特性に及ぼす熱処理及び化学組成の影響

摘要

焼も どしマルテンせイト組織を有する既存のフェライト耐熱鋼とは異なり，焼なましたフェライトを母相とする15Cr鋼の高強度化について換討を行った結果，WとCoの複合添加およびCとN添加量の最適化により，既存鋼のNF616よりも高いクリープ破断強度及び既存鋼と同程度の引張強度特性が得られることを明らかにした。 したがって，析出強化型15Cr鋼は高強度と優れた耐酸化性を有することから，火力発電プラント等の高温構造部材用材料としての利用が期待されるが,この材料を実用化するためには，衝撃特性の改善が必要不可欠である。そこで本研究では，析出強化型15Cr鋼の衝撃特性の改善を目的として，衝撃特性に及ぼす熱処理条件と化学組成の影響について検討を行った。