低刺激性·天然系洗浄用界面活性剤の開発と応用

摘要

パーソナルケア用の洗浄用界面活性剤が，泡立ち，汚れを落とし，身体を清潔に保つという本来の機能のほかに，刺激反応を誘起したり，肌あれや乾燥を起こしたりといったネガティブな作用も示しうることは早くから知られており，ネガティブな作用のより小さい，より低刺激な洗浄用界面活性剤を求める努力が重ねられてきた。 より低刺激な界面活性剤を開発するためには，まずは界面活性剤の皮膚に対する作用を理解することが重要であり，肌表面のpHと界面活性剤pHの差に由来する皮膚pHの変動，天然保湿因子（NMF）や細胞間脂質などのかく乱とそれによって起こると考えられる角層バリア機能の低下，界面活性剤の皮膚への残留．吸収6とその結果として問題になるタンパク変性·細胞毒性といった観点から，今なお多くの研究が行われている。 低刺激な界面活性剤を得る例では，ラウリル硫酸ナトリウム（SDS）へのEO付加がよく知られている。 EO付加により－，クラフト点を侍下させて処方組みを容易にすると同時に，皮膚への刺激を下げる効果がある。また，ベビー用洗浄剤を中心に，本来的にアニオン性界面活性剤よりも刺激が小さい両性界面活性剤を利用した処方開発も行われている。