楽曲のテンポと足のサイクルの差異がランナーの心拍数誘導に与える影響の評価

摘要

近年，運動不足解消や健康維持を目的としたジョギング人工が増加している．しかし，初心者ランナーは自分の最適なペース配分がわからないため，適切なトレーニング効果を得ることは難しい．適切なペース配分は，走行フェーズに応じて循環器系に適切な負荷を与えることによって達成されるが，心拍はそのような適切な負荷を測るための有効な指標となる．既存のデバイスでは，走行中ランナーに楽曲を提示することによって自らの走行ペースを直感的に調整させ，その結果として理想的な心拍維持が行えるようジョギングの誘導を行う．既存のデバイスは，楽曲のテンポに基づいてランニングに適した楽曲を選曲するが，楽曲によってはテンポの把握が困難な場合もあり，楽曲のテンポとランナーの足のサイクルは必ずしも同期しない．そのため，再生される楽曲によってはランナーの心拍数誘導を行うことが困難になってしまう．そこで本研究では，ランナーの足のサイクルと楽曲のテンポの間にどの程度の差異が生じた場合，ランナーの心拍数に影響を与えるかについて実験的な検証を行ったので報告する．