熱処理の高度化（その1）：細分化用途に対処した金型の焼入れ

摘要

近年，さまざまな熱処理特性の要求がなされ，より精密な対応が求められる．治工具類，主にプラスチック用を中心に精密金型部品の熱処理加工を担当する者として次々に開発される材料や，新たな技術情報に対処実践していかなければならない．細分化，専門化され深く追求される分野と金属材料と加工全般にわたる幅の広い視野とを兼ね備えてこそ合理的な熱処理加工が可能になる．次々に開発販売される新村質も，その開発意図や特性を理解したうえで適合処理ができなければその特徴が生かされない．カタログ仕様および類似する技術資料はその性格上全方位を表すがゆえに，入門書的一般論にとどまり，細分化され生き残りをかけた厳しい現状にそぐわない感を禁じ得ないものが多く，より高品質の金型づくりに参画し，その現場から得られた熱処理データをもとにその一部を提案する．