ニコランジルによる培養ラット血管平滑筋細胞のATP感受性Kチャネル活性に及ぼすプロポフォールとチアミラールの影響

摘要

ニコランジルはNOドナー作用に加えて,ATP感受性Kチャネル(K_(ATP))開口作用を併せ持つ抗狭心症薬である。 今回,パッチクランプのインサイドアウト法を用いてこコランジルにより活性化した培養ラット平滑筋細胞の細胞膜K_(ATP)電流に対するプロポフォールとチアミラールの影響を比較検討した。 ニコランジルにより活性化された細胞膜K_(ATP)電流に対してプロポフォール(10,100muM)は有意な影響を与えなかった(各n=12)。 一方,チアミラール(100,300/muM)は有意に抑制した〔相対チャネル活性:0.652±1.081(n=15),0.467±0.097 (n=15)〕。 虚血性心疾患患者の周術期管理において,冠動脈攣縮の治療や予防目的でニコランジルを投与する際には麻酔薬の選択も十分に考慮する必要性がある。