冷間鍛造金型用超硬合金の破壊じh性

摘要

Fig.1に鋼製ボルトの冷間鍛造用ダイの欠けによる破壊のプロセスを示す．Fig.(a)に製品のボルトと寿命に達したダイの写真を示す．本ボルトは，第1工程では軸絞りと予備据込みを，最終工程では第1工程で得た軸絞り部形状をダイのアプローチで保持しながらフランジ付き頭部を成形されたものである．ダイはアプローチ部の破壊で寿命となっている．Fig.1(b)は寿命に達したダイの破壊部位で，多数のき裂とくぼみ（図中で黒く塗られた領域）が認められる．ダイ表面上のくぼみに被加工材が入り込み，製品表面に凸部が（Fig.1(c)に黒く塗られた領域）形成され，その大きさが規格値を上まわると，不良品となり，その時点でダイが寿命に達したと判断される．ダイ表面のき裂，くぼみの転写痕とみられる製品表面上の痕跡から判断すると，ダイには寿命比N/N_f＝0.08の比較的早期にき裂が生成されており金型寿命はき裂の進展，合体に支配されている．こうした破壊プロセスには金型材料の破壊じh性が強く関与すると考えられる．超硬合金の破壊じh性については，抗折力の他にビッカース硬さ試験による破壊じh性値がよく用いられるが，比較的軟質の鍛造金型用超硬合金への適用には限界があると思われる．本報では，予き裂法を用いて，冷間鍛造金型用超硬合金の破壊じh性を調べる．