DLC膜の高機能化とその金型への応用: 密度差を利用したDLC膜創製と金型被膜への展開

摘要

DLC（Diamond-Like Carbon）膜が発明されてから半世紀が経過し，自動車部品からサングラスまで，下回り部品·金型の耐久性向上から紫外線遮断など多様な目的に使用されている．その基本的なナノ構造は，文献2)あるいは3)に集約されているように，ダイヤモンド構造（ただし局所的な構造ゆえにsp3構造），グラファイト構造（同様にsp2構造），水素原子からなる．コーティング手法により，その割合を制御することで種々の機能を発現させてきた．例えば，高硬度のDLC膜としては，水素濃度を減少させ，sp3構造を主にしたta-Cあるいはta-C:Hとすることで，自動車部品あるいは工具の高耐久性を実現した．