セラミックス系ナノコンポジット

摘要

セラミックス材料は，電子セラミックスを始めとした機能性セラミックスと，その優れた力学的·熱的特性を有効に利用しようとする構造性セラミックスに分類できる。 多くの先駆者の努力により，いずれの分野でも1980年代までに格段の進展を見せ，多くの工業分野で実用化されてきた。 しかし，1990年代になると，その動きに翳りが見え始め，新しい材料設計コンセプトが求められてきた。 さらに最近では，科学技術の進展に付随しして起こった諸問題，特にエネルギー問題や地球環境問題の解決とも関連して，従来の材料とはまったく異なる思想に基づく新しい材料設計コンセプトが強く求められている。 このような社会の要請に応える得る材料設計の一つは，1986年に日本から発表されたナノコンポジット概念であり，この新しい材料設計によりセラミックス材料の各種機能の大幅向上が達成され，その一部はすでに実馴化されている。 現在では，このコンセプトはセラミックスのみでなく金属や高分子材料などにも展開され，シナジーセラミックスやインターマテリアル（無機/金属/有機を融合させた材料）などの機能調和型材料設計コhセプトへと展開されている。