トランプ旋風に身構える化学業界保護主義や大型合併への影響注視

摘要

11月8日の米国大統領選挙では，大方の予想を覆して，不動産王のドナルド·トランプ氏が当選，選挙連動中に掲げた過激な主張が，新政権でどのように具体化されるのか，悲観／楽観を含めて様々な推測が全世界に飛び交っている。トランプ優勢のサプライズは，当初ニューヨーク市場で株価急落を招いたが，当選 後は一転して急騰，高値を更新してトランプ相場を現出した。不法移民排斥や自由貿易協定の見直しなど，保護主義的な主張が，仕事を奪われたとする白人労働者の不満を吸収したのが勝因とされるが，一方で大規模なインフラ建設，法人税減税，オバマ政権が推進した金融規制や環境規制の廃止により成長率を高めるといった経済政策が，ここ数年続く経済界の閉塞感打破への期待につながったようである。