自然資本の観点を投融資の意思決定に組み込む金融機関の取り組み

摘要

人間の生活や経済活動は自然の恵みによって成り立っている。生活に欠かすことのできない食料品，衣類，住宅をはじめ，すべての財はその出所をたどると大地や水域からの産出物に行き着く。しかし，鉱物資源は枯渇性を有し，農林水産物も無限に再生産されるものではない。人類はその生産物を将来にわたって適正に利用し続ける持続可能性を確保することが必要である。また，収穫物だけではなく，廃棄物の分解，水や大気の浄化も自然の持つ生物学的，化学的，物理的な浄化機能に依存している。浄化能力を超えた廃棄物の排出は持続可能性に対する脅威である。