資源外交の功罪と自主開発

摘要

石油公団のリスクマネー供給機能が2月末に発足する独立行政法人「石油天然ガス·金属鉱物資源機構」に移り、新しい自主開発路線がいよいよ始動する。石油公団の保有資産は順次放出され、民主導の中核的企業が中軸となって今後の自主開発を担っていく。 独立行政法人は国益と経済合理性にかなう大型案件を中心にリスクマネーを供与していく方針であり、海外の大型権益獲得を目指す動きが加速するのは必至だろう。だが、海外権益の獲得競争は国際政治のパワーゲームを意味する。 民間企業単独では限界があるので、政府が資源外交を展開して支えていかなければならない。 ただ、そのために官主導に片寄って経済合理性が失われ、かつてのナショナル·プロジェクトの二の舞となりかねないと危惧する声も多い。 とくに、イランのアザデガン油田や東シベリア·パイプライン構想のような超大型案件にどう取り組むかは、自主開発の将来を左右する大課題である。 巨費を要するので純粋に民主導で推進する有望案件のリスクマネー支授にしわ寄せが及ぶ可能性もあるからだ。 しかし、イラクの復興支援も含めて海外権益獲得のチャンスはいまこれまでになく広がっている。エネルギー安全保障と経済合理性をどう両立させるか、これからの資源外交に寄せられる期待は大きい。