悪性腎硬化症の発症機序：悪性高血圧と内皮細胞障害

摘要

高血圧性良性腎硬化症（hypertensive benign nephrosclerosis）は，高血圧の長期罹患により腎 内の小細動脈（小葉間動脈から輸入細動脈）の硬 化をきたし，糸球体硬化および尿細管間質の線維 化を引き起こす慢性腎臓病（chronic kidney disease） の1つである。一方，降圧治療の進歩に伴 いその発症は減少しているものの，悪性腎硬化症 （mangnant nephrosclerosis）は高度の高皿圧とと もに急性腎障害や多臓器障害（不全）が進行する 病態であり，血管内皮細胞の障害から血栓性微小 血管障害症（thrombotic microangiopathy ： TMA）をきたすことが知られている。本稿では 悪性咼血圧（malignant hypertension）による内 皮細胞障害を中心に，最近まで蓄積された知見を 概説する。