Naは腸管のどこで，どのくらいの速さで,どのように吸収されるのですか？

摘要

消化液が分泌される空腸と，吸収される回腸に分けられます。小腸の管腔内Naは140 mEqで，等張液として吸収されるので吸収水分量とNa吸収量が近似します。毎日腸管内に入る水 分は，およそ経口 2し消化管分泌（唾液，胃液，臈液，胆汁，腸液など）が6Lで，小腸で6L, 大腸で1.9 Lが吸収されますtoしたがって，Naは約600 mEq/日（Na14g， NaCI 35 g)吸収され ます。これは経口摂取だけでなく分泌液Naも含みます。小腸刷子縁膜でNa-糖共輸送体（SCLT1) やNa-アミノ酸共輸送体によりNaは吸収されます（Na?ブドウ糖入り飲料水の吸収がよい）。回 腸から近位大腸ではNa/H交換輸送体NHE3により吸収され，遠位大腸では上皮型Naチャネル ENaCによって吸収されます（アルドステロンで増加）。Naの80%が回腸-大腸で吸収されるのは， Na/K-ATPaseの活性が遠位の腸管ほど高く，細胞内Naを低くできるからです。大腸では腸内細菌 の分解産物である短鎖脂肪酸と一緒にNaが吸収されます（抗生物質で下痢）。腸炎など炎症がある と，セロ卜ニンのため輸送体の発現が低下してNa吸収が抑制されます（下痢）。一方，フルクト一 スは空腸の糖輸送体（GLUT5)で吸収されますが，その刺激がNHE3を増加させるのでNa吸収量 が増し，体液量が増加して高血圧，メタボリック症候群につながることがマウスで示されています。