レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)阻害薬

摘要

レニン-アンジォテンシン系（RAS)阻害薬は， 基礎疾患や蛋白尿の程度によらず，多くの糸球体 疾患において蛋白尿抑制効果をもつことが知られ ている。これは，多くの糸球体疾患において，固 有の疾患誘発因子からは独立した共通の蛋白尿発 症機序が存在すること，RAS阻害薬はその共通機 序に対し抑制効果を有していることを示している と考えられる。また，レニン-アンジォテンシン-アルドステロン系（RAAS)の最終産物である了 ルドステロン阻害薬も，蛋白尿抑制効果をもつこ とが示されている。これらRAAS阻害薬の肾保護 作用の詳細は，現在も未解明の部分が多いが，多 くの臨床，基礎研究により，分子レベルでの作用 機序が徐々に明らかになってきている。本稿で は，これらRAAS阻害薬の分子レベルでの作用機 序についての知見を概説する。