オックスフ才ード分類が与えたインパク卜と そのピッ卜フォール

摘要

IgA腎症臨床病理国際組織分類（いわゆるォッ タスフォード分類）が誌上発表され，幾多の腎疾 患に関する組織分類があるなかで，初めてIgA腎 症にェビデンスに基づいた組織分類ができた。 しかし，この分類が日常のIgA腎症の治療にどの ように役立つかについて疑問の声も聞く。一方， わが国では，厚生労働省·日本脊臓学会合同によ る組織学的予後分類が，もう1つのェビデンスに 基づいた組織分類として2010年に作成された。 しかし，これらの2つの組織分類が異なった分類 となっており，このダブルスタンダードをどのよ うに克服するかという問題に直面している。ォッ クスフォード分類の有効性については，国際的に も，現在幾多の追試研究（validation study)が誌 上発表され始めている。これからのIgA腎症組織 分類を用いた研究は，このオックスフォード分類 が中軸となり，そこからみた臨床病理研究の方向 性ができつつあることは無視できない。そこで本 稿では，もう一度オックスフォード分類のもつィ ンパクトとそのピットフォールを指摘し，さらに 追試研究を紹介することにより，オックスフォー ド分類をよりよく理解できるような内容とした。