上行結腸-横行結腸を短絡した上行結腸癌の1例

摘要

大腸癌は局所発育の傾向が強く，隣接臓器に浸 潤や穿通することは少なくない.大腸癌の穿通先 としては，後腹膜?腸間膜が多く，次いで膀胱や 胃があるが，結腸相互での穿通は比較的まれであ る.今回われわれは横行結腸に穿通し，結腸同 土の内瘻を形成した上行結腸癌を経験したので， 文献的考察を加えここに報告する. 症例症例61歳，男性主訴：8力月間持続する動悸家族歴?既往歴：特記すべきことはない.現病歴：2009年2月より動悸を自覚するように なった.また2009年1?9月の9力月間で，8kg の体重減少を認めた.2009年10月に近医で貧血 (Hb4.5g/dl)を指摘された.精査の結果，結腸腫 瘍と診断され，加療目的に当科紹介となった.