HIV感染症流行の現状と最新の治療

摘要

HIV(human immunodeficiency virus)感染者の予後は，近年著しく変化してきている.1996 年以降，少なくとも多剤併用抗レトロウイルス療法(HAART ； highly active anti-retroviral therapy)を享受できる先進諸国においては，HIV 感染者の死亡数は急激に減少してきている.そ, の背景には，むろhHAARTによるHIV感染者の予後の改善がある.その結果，HIV感染者における死因は従来に比べて大きく変ィ匕してきている. ニューモシステイス肺炎やサイトメガロウィルス感染症などの従来からの日和見感染症は死因として減少し，代わりに悪性リンパ腫や肝疾患による死亡が増加してきているのである.