臨床医のためのホルモン療法耐性の機序 ァロマターゼ阻害薬(AI)を中心に

摘要

世界初のホルモン療法は，1896年のBeatsonら の報告にあるこの報告では進行乳癌患者の卵 巣を摘出すると腫瘍が退縮したということが述べ られている.以来，卵巣摘出によるホルモン療法 がさまざまな乳癌患者に施行されるようになり， 同時に乳癌とホルモンの関係についての研究が進 hだ.1970年代になると，避妊薬としての効果を 期待されて開発されたタモキシフェンが乳癌に効 果的であることが判明し，乳癌のホルモン療法薬 として一躍注目を浴びた.タモキシフェンは選択 的ェストロゲン受容体（estrogen receptor ： ER) 調節薬として知られ，乳癌細胞においてはERに 競合的に結合し，不活性型にすることで効果を示 す.卵巣摘出がおもであつた乳癌ホルモン療法が 夕モキシフェンの登場により一変し，その後現在まで長らく重用されることとなった.