ハイブリツド分子シミュレーションによる口ドプシン光受容体の分子機能の理解と設計

摘要

生命活動を支えている実体は，さまざまな生体 分子の顕著な分子機能である.近年の構造生物学 や生体分子計測技術の大きな進歩により，分子機 能を担う生体分子の構造やダイナミクスが原子レ ベルから明らかになってきている.この究極にミ クロスコピックな視野の獲得は，生体機能を分子 の物理と化学の視点から理解し制御することを可 能にする.とくに，生体分子を物理的実体として 表す量子力学や古典力学などの方程式をコンピュー タを用いて数値的に解き，その分子機能を物理法 則に立脚して表現する分子シミュレーションの手 法は，ムーアの法則（コンピュータの演算速度はおよそ2年で2倍になるという経験則）に代表され るコンピュータ能力の急速な進歩により，実験的 手法の発展と大きなシナジーを伴う重要な役割を担うようになってきている.