黄色ブドウ球菌感染に対する無毒化TSST-1ワクチンの防御効果

摘要

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus}は,敗血症,肺炎,骨髄炎などあらゆる臓器の化膿性疾患の起炎菌となり,その治療に用いられる抗菌薬に対し容易に耐性を獲得する.MRSAは病院感染の主要原因菌として相変わらず重要な問題である.一方,S.aureusは種々の蛋自性毒素を産生し,ブドウ球菌性食中毒,毒素性ショック症候群,ブドウ球菌性表皮剥脱症候群の原因となる.著者らはS.aureusの全身感染マウスモデルにおいて,S.aureus感染は宿主にT-ヘルパー2(Th2)応答を誘導し,多くの細菌感染防御に必須なインターフェロンーgamma(IFN-gamma)が感染増悪に働くことを明らかにした.