核内レセプターによる生体異物·脂質代謝調節

摘要

核内レセプターはリガンド化合物が直接結合することで標的遺伝子の転写を調節する転写因子である.PXR(生体異物受容体),CAR(生体異物受容体),LXR(オキシステロール受容体),FXR(胆汁酸受容体),VDR(ビタミンDおよび胆汁酸受容体)などの核内レセプターは医薬品などの生体異物やコレステロール代謝物などの生理的化合物を感知する化学的細胞環境情報センサーとして機能してかり,これらの化合物の代謝系,すなわち細胞内への流入,化学的修飾,細胞外への排出などにかかわる蛋白質の遺伝子発現を調節している.医薬品の薬効阻害や副作用の原因となる薬物間相互作用や食習慣が発症に密接に関連する生活習慣病などの病態において,これらの核内レセプターが深く関与しており,それらの生体内分子機構の解明が注目されている.