心不全に対する新しいペースメーカー治療 両心室同期ペースメーカー

摘要

ペースメーカーを用いた重症心不全に対する新しい治療が注目されている.心室内伝導障害(脚ブロック)を伴う重症心不全例に,右心室と左心室の両心室からペーシングを行うことにより心室壁運動の効率化をはかるコンセプトの下に,欧米の大規模試験でその有用性が明らかになりつつある.しかし,わが国においては限られた施設における少数の経験が報告されているのみである.わが国においても平成15年(2003)5月に薬事承認を得て秋にも専用機種が臨床使用可能となる運びである.薬物抵抗性の重症心不全に対する新しい非薬物療法として,両心室同期ペースメーカー治療の有用性がわが国でも明らかにされようとしている.本稿では,自験例を含めてこの心不全に対する新しいペースメーカー治療を概説する.