精巣機能からみた男性更年期 加齢とテストステロン

摘要

精巣由来のテストステロンが加齢とともに低下することはよく知られている．近年，更年期における男性で女性同様の更年期障害を生じることが注目されており，血中テストステロンの低下がおもな原因と考えられている．通常，テストステロン分泌は視床下部-下垂体-精巣系の調節を受ける．一般に精巣機能低下から低テストステロン血症をきたす疾患は，①精巣機能自体の障害から下垂体からのLH，FSHが上昇する高ゴナドトロピン性と，②これらが低下することで精巣機能低下を生じる低ゴナドトロピン性に大別される．一方，加齢に関する低テストステロン血症は視床下部から分泌される性腺刺激ホルモン（Gn－RH）の低下に加え，精巣でテストステロンを分泌するLeydig細胞の質的量的低下が指摘されている．ただし，わが国において男性更年期障害を正しく評価 診断するためのテストステロン測定についてはさまざまな問題点が指摘されており，今後の課題といえる．