破骨細胞分化のシグナル伝達

摘要

骨は自らの形態変化や血中Ca濃度の維持のため，つねに形成と吸収 破壊を繰り返し再構築を行う動的な器官である．通常は骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収とは平衡状態にあり，これらの細胞間の相互応答機構により骨量が一定に保たれる．閉経，老化，炎症などによりこの平衡状態が破綻すると，骨粗鬆症，関節リウマチによる骨破壊などの骨代謝異常を発症する．これらの骨代謝異常症の原因の多くは破骨細胞の分化 機能亢進であり，そのシグナル伝達の分子レベルでの解明は重要課題である．