大型血管炎に対する薬物療法

摘要

血管炎の分類で用いられるChapel Hill分類で，その1カテゴリ一を構成する"大型血管炎(LVV)"は高安 動脈炎(TAK)と巨細胞性動脈炎(GCA)の2疾患からなる.TAKとGCAの治療の第一選択薬はステロ ィドであるが，多くの症例でいったhは寛解に至るものの.再燃がしばしばみられることが治療上の問題と なっている.再燃の際には，TAKではステロイドに加えてさまざまな免疫抑制療法を併用することが勧めら れているが,確実に効果のある治療法はいまだないのが現状である.そうしたなかで近年，難治性経過をとる TAKやGCAの症例において，生物学的製剤のinterleukin-6(IL-6)受容体抗体卜シリズマブ(TCZ)の有効性が 報告されている.TAKに対する治験はわが国で，GCAに対する治験は欧米で現在進行中であり，今後新しい 治療とレて期待されている.本稿では，最近のLVVに対する薬物療法の知見を述べる.