慢性副鼻腔炎の病態とPathogenic Th2細胞

摘要

慢性副鼻腔炎は比較的頻度の高い疾患であるが，好中球浸潤を主とする従来の慢性副鼻腔炎に加えて，好酸 球浸潤がめだつ好酸球性副鼻腔炎の罹患増加がみられている.好酸球性副鼻腔炎は多発性の鼻ポリ一プ，高度 の嗅覚障害，高い喘息合併率，薬剤抵抗性，手術後易再発といった特徴を有する.鼻ポリープ中のサイ卜カインゃ浸潤T細胞を検討したところ，好酸球性副鼻腔炎の鼻ポリ一プにはTh2サイ卜カインの高い発現がみら れ，同時にIL-25の受容体であるIL-17RB,あるいはに-33の受容体であるST2陽性の浸潤CD4陽性T細 胞がみられた.興味深いことに，T細胞の活性化と同時にIL-25あるいはIL-33の共刺激をすることで，大 量のIL-5やIL-33といったTh2サイ卜カインの産生が確認された.メモリ一Th2細胞のなかでこのような 特徴を有するTh2細胞のsubpopulation(病原性Th2細胞）が，好酸球性副鼻腔炎の病態の形成?維持に大き な関与をすると考えられた.